こにし

吉田拓郎は全身黒かった。

先日、アルバイトを始めた。商店街にある小さなCDショップ店だ。

 

なるべくのんびりとできる仕事がしたかった。ゴールデンボンバーが「CDが売れないこんな世の中じゃ」と言って騒ぎながらQRコードをゴールデンタイムに晒してダウンロードさせるぐらいCDが売れないらしいからなんとなくのんびりできるのではないかと思っていた。

 

しかしやってみるとなかなか覚えることが多いことがわかった。今、「CDが売れないこんな世の中じゃ」だからなのか元々なのかわからないがコンサート、ライブなどの運営もこのショップ店で行っていた。生まれてこの方、フェスであったりコンサートなどにほぼ関心を示してこなかったから(唯一行ったのが父に連れられた吉田拓郎つま恋コンサート。静岡の山奥に行かされ、吉田拓郎は黒のサングラスを着けていて盲目なのかと父に聞いてしばかれた。)だからチケットの取り方やその他諸々覚えることがいっぱいある。

 

入って2日目にして某ミュージシャンの握手会があり店内は非常に慌ただしくなり何もできなくなった自分はほぼ立っているだけだった。握手会に来る人とそれを迎えるミュージシャンの「年は40だけと、俺の音楽は18のままだ!」のセリフが耳にこびりついて中々離れなかった。

 

実は初日にもあるミュージシャンが店に来て宣伝活動をしていた。だから職場の人は「2日連続有名人に会えてラッキーボーイやね!」と言っていた。

個人的にはこのままなんかあってすぐ辞めたくなったときに「あいつただ○○が

来てるの突っ立って見てるだけで辞めたぞ」なんて言われそうだからしばらくはここで頑張らなくてはという使命感的が芽生えた、ような気がした。

 

その次の日友達と会った。

会って開口一番、「最近急に暑くなったなぁ」とお互いで言いあった。

 

今、自分の年齢、取り巻いている状況もあってか友人や知り合いに会うとすぐ互いの近況を話しあう「報告会」のようになっている気がする。本当に息が詰まる思いである。

 

特に、近況で話せるようなネタがない自分のような身にとって会ってすぐ気候の話から入れる友達がいるのは貴重な気がした。

 

その友達とはその後、お互いの言いたいことをただ話すだけだった。自分は好きな欅坂46の話、長濱ねるグールプ加入秘話を30分程語ったあと、友達は中日ドラゴンズがなぜ弱くなったのか、1987年の落合、牛島らによる世紀のトレードから遡りやはり30分程度語った。

 

最近色々な事があってか中々眠ることができなかった。夜中、目を覚ましてカーテンをあけると真っ黒な山の頂上から電波塔がぼんやりと浮かび上がってきた。まるで山に突き刺さっている白い骨のように見えた。